静寂に包まれた栗東と美浦の朝。冷たい空気の中で吐き出される白い息と、ウッドチップを叩く力強い音が、春のクラシック戦線の幕開けを告げています。 今回の 共同通信杯において「調教が良い」とされる馬たち は、単に時計が速いだけでなく、それぞれが次なるステージを見据えた「意志」を感じさせる動きを見せています。 昨年のホープフルS覇者ロブチェンの始動、そして底知れぬ素質を秘めた1戦1勝馬ラヴェニュー。 彼らがターフで見せるパフォーマンスの予兆は、すでにこの1週間の追い切りの中に鮮明に刻まれていました。 共同通信杯の調教ポイント 一般的に、追い切りの時計が良い=状態が良いと直結させがちですが、 今回に限って言えば 、その「中身」に注目する必要があります。 例えば、S評価が並ぶ中で、ポリトラック(DP)で驚異のラスト10.9秒を叩き出したラヴェニュー。 キャリア1戦の身で、これほどの瞬発力を実戦形式ではなく調整段階で見せてしまうことに、ある種の「過大評価ではないか」という違和感を抱くファンも少なくありません。 しかし、名門・友道厩舎が「マカヒキに似ている」と評するその背景には、数字以上のスケール感が隠されている可能性があります。 共同通信杯 調教が良い馬 ロブチェン : 1週前のCWではラスト11.1秒と抜群の伸び。直前の坂路でも馬なりで55.1秒をマークし、杉山晴紀調教師は「年末の疲れもなく、崩れないのが魅力」と太鼓判。G1馬の風格を漂わせています。 ラヴェニュー : 栗東DPで6F 88.0-10.9という破格の時計。菅原明騎手も「成長を感じる」とコメントしており、熱発によるホープフルS回避の影響は微塵も感じさせません。 サノノグレーター : 美浦坂路で4F 51.3-11.7の自己ベストを更新。横山武史騎手を背に、持続力とパワーが強化されていることが確認されています。 リアライズシリウス : ウッドで82.0-11.7をマーク。朝日杯FS時とは「中身が全然違う」と手塚師が語る通り、大型馬特有の重苦しさが抜け、素軽いフットワークを見せています。 調教が良い馬の注意点と次の見方 ・ 視点の再構築 : 「ロブチェンとリアライズシリウスの2頭が抜けている」という声や、「ラヴェニューはまだ1戦1勝の過剰人気」という議論が交わされています。しかし、 一般的な見方とは少し違って 、今回の調教データが示すのは「完成度」の差ではなく、「適性」の提示です。東京の長い直線で見せるべき末脚の質において、DPで切れたラヴェニューと、坂路で自己ベストを叩いたサノノグレーターの比較は、まさにクラシックの方向性を占う重要な分岐点となるでしょう。 ・ 未来への視点 : ここで「良い」とされる調教を見せた馬たちが、本番の東京芝1800mでその動きを再現できるかどうかが、皐月賞・ダービーへと続く王道ローテの「軸」となります。 補足: 関連用語解説 DP(ポリトラック)コース : 電線被覆などの素材を混ぜた全天候型馬場。ウッドチップよりも時計が出やすく、脚への負担が少ないため、スピード感の確認や故障明けの調整によく使われる。 ラスト1ハロン : ゴール前の約200メートルのこと。ここでの時計(11秒台など)が、その馬の瞬発力や粘り強さを判断する重要な指標となる。