寒風吹きすさぶ冬の中山競馬場。 芝は枯れ、馬場はタフさを増すこの季節に行われるアメリカジョッキークラブカップ(AJCC)は、春のG1戦線、特に天皇賞(春)や宝塚記念を見据えた古馬たちの重要な始動戦となる。 芝2200mという非根幹距離、そしてゴール前の急坂が待ち受けるこの舞台は、スピード一辺倒の馬を拒絶し、底知れぬスタミナとパワーを秘めた「血」を持つ馬たちを歓迎する。 歴史を振り返れば、メジロブライトやスペシャルウィークといった名ステイヤーたちがここをステップに飛躍していった。 2026年の今年も、凍てつくターフの下で熱い血脈が目覚めようとしている。 AJCCを単なる数字だけで見てしまう前に整理したいポイント AJCCの血統傾向として、一般的には「ステイゴールド系」や「ロベルト系」といったスタミナとパワーに優れた系統が有利とされている。 これは、冬の中山の力の要る馬場状態が大きく影響している。しかし、 今回に限って言えば 、単にそれらの血を持っていれば良いというわけではない。 近年の競馬は高速化が進んでいるが、この時期の中山は馬場管理技術の向上もあり、以前ほど極端に時計がかかるわけではないこともある。 重要なのは、タフな馬場に対応できる「パワー」と、最後までバテずに走り切る「持続力」を兼ね備えているかどうかだ。 血統表の字面だけでなく、近走でスタミナが問われる展開を経験し、そこでどのようなパフォーマンスを見せたかという「実戦での裏付け」が、血統の真価を見極める鍵となるだろう。 AJCCについて公式・報道で確認できる主要データ 2026年のAJCCには、様々な路線から有力馬が参戦を予定している。ここでは、血統的な観点から注目される馬のデータを整理する。 マイネルエンペラー (牡6・芦毛) 血統:父ゴールドシップ(ステイゴールド系)、母父ロージズインメイ 実績:前年の日経賞(G2・中山芝2500m)で重賞初制覇。天皇賞(春)でも5着と健闘。 特徴:豊富なスタミナと、力の要る馬場を苦にしないパワーが持ち味。まさにこの舞台にうってつけの血統背景を持つ。 ショウヘイ (牡4・鹿毛) 血統:父エピファネイア(ロベルト系)、母父ディープインパクト 実績:3歳時にクラシック戦線で活躍。菊花賞(G1・京都芝3000m)で掲示板を確保するなど、長距離適性を示している。 特徴:父から受け継いだスタミナと、母父譲りの瞬発力を併せ持つ。世代交代を狙う明け4歳馬の筆頭格。 今回のAJCCから見えてくる注意点と次の見方 ・誤解の解体: 「明け4歳馬は成長力があるから有利」という一般的な見方とは少し違って、この時期の古馬との力関係は慎重に見極める必要がある。特に、クラシックで好走した馬が人気になりやすいが、中山芝2200mという特殊な舞台への適性は未知数な部分も多い。過信は禁物だ。 ・未来への視点: このレースで求められるのは、スタミナを削り合う消耗戦での強さだ。ここでタフな競馬を経験し、結果を残した馬は、春の天皇賞や宝塚記念といった、さらに過酷な条件下で行われるG1レースでも、その「底力」が大きな武器となるだろう。