安田記念とフェブラリーステークス。日本の競馬史において、芝とダート双方の頂点を極めた馬は数えるほどしかいません。 その一頭であるモズアスコットが種牡馬となり、今まさにその産駒たちがターフと砂の上で躍動を始めています。 偉大な父フランケルのスピードと、母系から受け継いだ北米のパワー。 その結晶である彼らの走りは、単なる「二刀流」という言葉では片付けられない、血統的な深みとロマンを私たちに抱かせてくれます。 モズアスコット産駒のポイント 一般的に、フランケル系の産駒は「高いスピードと引き換えに、日本の軽い馬場への適性や気性の難しさが課題になる」と語られがちです。 しかし、 今回に限って言えば 、モズアスコット産駒はその定説から一歩踏み出した特徴を持っています。 父譲りの筋肉質な馬体はダートへの高い適性を示しながらも、決して「重い」わけではなく、芝のスピード決着にも対応できる柔軟性を兼ね備えている点が、他のフランケル系種牡馬との大きなズレであり、最大の特徴です。 モズアスコット産駒について 基本情報: 血統(父:Frankel、母:India)、2014年3月31日生まれ、矢作芳人厩舎(現役時)所属。 直近の実績: 初年度産駒が2024年にデビュー。JRAおよび地方競馬(NAR)の両方で高い勝ち上がり率を記録しており、特に新馬戦からの仕上がりの早さが目立つ。 最新状況: 陣営や育成牧場からは「骨格がしっかりしており、手がかからない」「父に似て食欲が旺盛でタフ」というコメントが多く、2歳戦から3歳春にかけての安定感に定評がある。 モズアスコット産駒の見方 ・ 誤解の解体: 「芝かダートか」という二者択一の視点は、この種牡馬においてはあまり意味をなしません。「ダート種牡馬」として定着しつつありますが、実際には母系のヘネシー由来のスピードが強く、芝の短距離からマイルでも十分に通用する産駒を送り出しています。馬体重の増減やパドックでの筋肉の質感から、その個体がどちらの適性に寄っているかを見極める「個体別の観察」が重要です。 ・ 未来への視点: 芝・砂問わぬ活躍を見せる彼らが、古馬になってからの成長力をどう示すか、そしてモズアスコット自身がそうであったように「急激な覚醒」を見せるタイプが出るかどうかが、今後の種牡馬としての真価を決定付ける軸となるでしょう。 補足: 用語解説 フランケル(Frankel): 14戦無敗で引退した「怪物」と称される英国の競走馬。種牡馬としても世界中でG1馬を輩出している。 二刀流: 芝のレースとダートのレースの両方で高いパフォーマンスを発揮すること。モズアスコットはその象徴的な存在。