冬の中山競馬場の名物重賞、アメリカジョッキークラブカップ(AJCC)。 舞台となる中山芝2200mは、トリッキーなコース形態と相まって、ファンの間では「枠順」が結果を大きく左右すると囁かれるコースです。 しかし、その「有利不利」は単純なデータだけで語れるものではありません。 2026年のAJCCを迎えるにあたり、過去の傾向と、この時期特有の馬場状態が織りなす複雑な「枠」の真実を紐解いていきましょう。 「枠順」を単なる数字だけで見てしまう前に整理したいポイント 中山芝2200mというコースには、通年のデータとして「中枠有利・内枠不利」という傾向が見られます。これは、スタート直後にコーナーがあり、最内枠は包まれやすく、外枠は距離ロスが生じやすいというコース形態に起因すると考えられます。 しかし、 今回に限って言えば 、この一般的な傾向をそのまま当てはめるのは危険かもしれません。 なぜなら、AJCCは例年、冬の中山開催の最終週に行われるからです。 長期間の開催によって芝が踏み荒らされ、特に内側の馬場状態が悪化しているケースが少なくありません。 その結果、通年のデータとは逆に、荒れた内側を避けて通れる「外枠」が有利になる、いわゆる「外差し馬場」が出現することがあるのです。この「通年の傾向」と「開催時期特有の傾向」のズレこそが、AJCCの枠順を考える上で最も重要なポイントとなります。 「中山芝2200m」について公式・報道で確認できる主要データ ここでは、中山芝2200mの一般的な傾向を把握するために、過去のデータ(2020年1月~2025年1月、良馬場のみ集計)を基にした枠別成績を見てみましょう。 有利な枠(複勝率上位): 4枠(28.5%)、3枠(27.1%)、2枠(25.8%) 不利な枠(複勝率下位): 1枠(19.4%)、8枠(20.2%) 傾向のまとめ: データ上は、真ん中の枠(2~4枠)が好成績を残しており、最内の1枠と大外の8枠が苦戦している傾向が如実に表れています。 ※上記は通年の良馬場データであり、AJCC開催週の馬場状態によっては傾向が異なる可能性があります。 今回の「枠順発表」から見えてくる注意点と次の見方 ・ 誤解の解体: 「中山2200mは内枠が不利」という通説は、あくまで平均的なデータに基づいたものです。AJCCにおいては、開催が進んで内側の芝が荒れている場合、「内枠不利」がさらに加速する可能性もあれば、逆に馬場管理技術の向上によって内側の状態が保たれていれば、通説通りの「中枠有利」や、あるいは「内枠有利」になる可能性も否定できません。単純なデータ盲信は禁物です。 ・ 未来への視点: 枠順が発表されたら、まず注目すべきは「週末の天気予報」と、土曜日のレースで見られる「馬場の伸びどころ」です。内が止まるのか、外が伸びるのか。その日のトラックバイアスを見極めることこそが、真に有利な枠を見抜く鍵となります。