2026年1月24日、小倉競馬場。冬の柔らかな日差しが差し込むゴール前で、またしてもその馬の名前が呼び上げられたのは、勝者の直後だった。 ボンドガール。この日行われた小倉牝馬ステークス(G3)で、彼女は自身7度目となる重賞2着を記録した。 「最強の1勝馬」という、名誉とも皮肉とも取れる異名を持つ彼女だが、その走りはファンの記憶に深く刻まれ続けている。 重賞未勝利ながら、これほどまでに多くの注目と感情を集める馬は稀有な存在だろう。 今回のレースで見せたパフォーマンスは、単なる惜敗の歴史の1ページとして片付けるにはあまりにも強烈な光を放っていた。 ボンドガールを単なる数字だけで見てしまう前に整理したいポイント 「また2着か」「惜しい!」。 確かに、通算7度目の重賞銀メダルという結果だけを見れば、勝ちきれないもどかしさが募るのも無理はない。 しかし、今回に限って言えば、その結果の裏にある「数字」にこそ注目すべきだろう。 レポートによると、ボンドガールが記録した上がり3ハロン(最後の600m)のタイムは33秒4。 これは小倉芝2000mのコースにおける歴代最速タイ記録である。一般的な見方とは少し違って、5歳となりベテランの域に入りつつある彼女が、キャリアハイ級の末脚をここで繰り出したという事実は、能力の衰えどころか、さらなる進化さえ感じさせる微かな違和感として残る。 単に「届かなかった」のではなく、「とてつもない脚を使ったが、あと一歩及ばなかった」という解釈こそが、今回のボンドガールを正しく理解する鍵となるかもしれない。 ボンドガールについて主要データ 最新の状態(2026年1月24日時点) : 小倉牝馬ステークス(G3・芝2000m)で頭差の2着。丹内祐次騎手が騎乗し、8番人気ながら上がり3F最速タイとなる33.4秒の末脚を記録した。レース前の最終追い切りではA評価を獲得しており、状態の良さがレース結果に直結した形となった。 基本情報 : 父ダイワメジャー、母父Tiznowの牝5歳馬。美浦・手塚貴久厩舎所属。これまでにサウジアラビアRC、ニュージーランドT、クイーンS、秋華賞、東京新聞杯、関屋記念で2着となっており、今回で重賞2着は通算7度目となる。「最強の1勝馬」として知られる。 今回の事象から見えてくるボンドガールの注意点と次の見方 ・ 視点の再構築 : ボンドガールに対して「勝ちきれない」というネガティブな評価を一度解体する必要があるだろう。これだけ異なる条件(マイルから2000m、右回り・左回り問わず)の重賞で、常に上位争いを演じ続ける安定感は並大抵のものではない。今回の歴代最速タイの上がりタイムが示すように、彼女は常に一発の爆発力を秘めている。「いつか勝つ」という期待だけでなく、「どんなレースでも崩れない強さ」そのものを評価の軸に据えるべきかもしれない。 ・ 未来への視点 : 次走がどこであれ、ファンの心を揺さぶり続ける彼女の「ドラマ」を、引退のその日まで追い続けることこそが我々の楽しみとなるだろう。