クラシックへの登竜門、京成杯。 例年、素質馬たちが春の大舞台を見据えて激突するこのレースは、今年も中山の冷たい空気の中で熱い火花を散らした。 結果は、戸崎圭太騎手騎乗のグリーンエナジーが馬群を割って差し切り、重賞初制覇を飾った。 しかし、着順という「数字」だけでは見えてこないドラマが、レース後の陣営コメントから浮かび上がってくる。 そこには、まだ完成途上であるがゆえの「偶然」と、それがもたらした「必然」の勝利があった。 京成杯を単なる数字だけで見てしまう前に整理したいポイント 「勝った馬が強い」「人気馬が飛んだ」。レース直後はそうした単純な評価に終始しがちだが、今回に限って言えば、少し違った視点が必要かもしれない。勝ち馬の勝因と1番人気馬の敗因について、一般的な見方とのズレを整理しておこう。 勝ち馬グリーンエナジー:計算外の「後方待機」がもたらした勝利 一般的に、中山2000mは先行力が活きるコースとされる。 しかし、グリーンエナジーの勝因は「意図せざる後方待機」にあったようだ。 上原佑紀調教師は「先行力があるので前に行けるかなと思っていたが、行き脚がつかなかった」と振り返る。戸崎騎手も「少し緩いぶんポジションが取れなかった」とコメント。 つまり、今回の後方策は作戦ではなく、馬体の緩さによる結果だったのだ。 しかし、この「計算外」が功を奏し、折り合いに専念できたことで、最後の爆発的な末脚につながったと言えるだろう。 1番人気ソラネルマン:能力の高さゆえの「空回り」 断然の1番人気に推されたソラネルマンの3着敗退は、多くのファンを落胆させたかもしれない。 しかし、ルメール騎手のコメントからは、悲観すべき内容ではないことが読み取れる。「2コーナーまでは少し一所懸命だった」「向正面ではリラックスできたが、最後は疲れてしまった」。 これは、能力が高い馬がキャリアの浅い時期に陥りがちな「力み」と、休み明けによるスタミナ不足が重なった結果だろう。 今回に限って言えば、勝ち馬のような「緩さ」がなかった分、逆にレース前半で消耗してしまったとも解釈できる。 京成杯についてコメント 1着 グリーンエナジー 直近の実績:これまでは先行策で結果を残してきたが、今回は後方からの差し切り勝ち。 最新状況:「馬体の緩さはまだあるが、一戦ごとしっかりしてきている」(戸崎騎手)。クラシックに向けて大きな収穫を得た。 3着 ソラネルマン 直近の実績:1番人気に推されるも、レース前半の力みが響き3着。 最新状況:「休み明けを使って、よくなってくると思う」(ルメール騎手)。次走での巻き返しが期待される。 4着 タイダルロック 直近の実績:大型馬で、エンジンがかかるまでに時間を要したが、終いは際立つ脚を見せた。 最新状況:「広いコースならもっとこの馬の能力を発揮できる」(三浦騎手)。東京コースなどでの活躍が示唆される。 今回の京成杯から見えてくる注意点と次の見方 ・ 誤解の解体 :グリーンエナジーの勝利を「自在性のある差し馬の誕生」と早合点するのは危険かもしれない。今回は「緩さ」がたまたま良い方向に出た可能性があり、次走以降、馬体がパンとしてきた時にどのような競馬を見せるかが真価を問う鍵になるだろう。 ・ 未来への視点 :現時点での完成度よりも、「思うようにいかなかったレース」で何を得たかが、春のクラシックでの飛躍を占う試金石となるだろう。