2022年のフェアリーS覇者であり、その後もG1の大舞台で幾度となく波乱を演出してきた個性派、ライラックが競走生活に幕を下ろしました。 多くのファンを熱狂させ、時に頭を抱えさせた彼女の引退と繁殖入りという事実に、労いと感謝を込めてその足跡を振り返ります。 父オルフェーヴル譲りの底知れぬスタミナと、特定の舞台で発揮された爆発力は、ファンの記憶に深く刻まれています。 ライラックを単なる数字だけで見てしまう前に整理したいポイント 通算25戦2勝、重賞勝ちはG3の1勝のみ。この数字だけを見れば、一般的な重賞ウィナーの一頭として片付けられてしまうかもしれません。しかし、 今回ライラックに限って言えば 、その評価は適切ではありません。 彼女の真価は、勝利数ではなく、その内容と相手関係にあります。特に秋の京都競馬場で行われるエリザベス女王杯(G1)でのパフォーマンスは驚異的でした。 4年連続で出走し、2着(2022年)、4着、6着、3着(2025年)と、常に上位を賑わせたのです。 タフな馬場や消耗戦といった特定の条件下で、現役トップクラスの牝馬たちと互角以上に渡り合ったその能力は、単なる「G3馬」の枠には収まりきらない、非凡なものでした。 ライラックについて公式・報道で確認できる主要データ 基本情報: 父オルフェーヴル、母ヴィーヴァブーケ(母父キングカメハメハ)。2019年生まれの鹿毛の牝馬。美浦・相沢郁厩舎所属。馬主は芹澤精一氏。 直近の実績: ラストランとなった2026年1月18日の日経新春杯(G2)は12着。しかし、その前のエリザベス女王杯では、人気薄ながらしぶとく脚を伸ばして3着に食い込み、健在ぶりをアピールしていました。 最新状況: 2026年1月22日付で競走馬登録を抹消。今後は北海道新ひだか町の岡田スタッドで繁殖馬となる予定です。管理した相沢調教師は「長い間よく頑張ってくれました。ファンの多い馬で、たくさんのファンレターをいただきました。これからはいいお母さんになってほしいです」とコメントを寄せています。 今回の引退・繁殖入りから見えてくる注意点と次の見方 ・ 誤解の解体: 好走と凡走を繰り返す成績から「気ムラな馬」というレッテルを貼られがちでした。しかし、一般的な見方とは少し違って、彼女が輝いたのはG1の厳しい流れやタフな馬場という、ごまかしのきかない舞台でした。父オルフェーヴルから受け継いだ底力が、特定の条件下で最大限に発揮されたと見るべきでしょう。気まぐれではなく、強烈な個性を持った「スペシャリスト」だったのです。 ・ 未来への視点: G1の激流で揉まれ続けた経験と、特定の舞台で見せた爆発力は、母となって必ず活きるはずです。そのタフで個性的な血を引く産駒が、再びターフを沸かせる日を静かに待ちたいと思います。