クラシック戦線へ向けて、逸材たちがその能力を試されるきさらぎ賞。 京都競馬場芝1800mという舞台は、ごまかしの効かない実力勝負の場として、数々の名馬を送り出してきました。 このレースを語る上で避けて通れないのが「血統傾向」です。かつてはディープインパクト産駒が我が庭のように駆け抜けたこのコース。 改修工事を経て、再び京都に戻ってきた今、その傾向はどのように変化し、あるいは継承されているのでしょうか。 ファンの記憶に刻まれた「サンデーサイレンス系の衝撃」と、現代の馬場が求める適性の狭間で、きさらぎ賞の血統地図を静かに見つめ直してみましょう。 きさらぎ賞の血統傾向を単なる「サンデー系一強」だけで見てしまう前に整理したいポイント 一般的に、きさらぎ賞といえば「サンデーサイレンス系、とりわけディープインパクトの血を引く馬が圧倒的に強い」というイメージが定着しています。 確かに、過去のデータを見ればその認識は間違いではありません。 しかし、今回のGrok調査レポートから浮かび上がってくるのは、そうした「王道」の陰で生じている微かな変化の兆しです。 一般的な見方とは少し違って、今回注目したいのは「京都開催への回帰」と「非サンデー系の台頭」という二つのファクターです。 中京開催の時期を含めればサンデー系が優勢であることに変わりはありませんが、京都の舞台に戻ったここ数年の結果だけを切り取ると、ロベルト系のようなパワーとスタミナを兼ね備えた血統が存在感を示し始めています。 これは、サンデー一辺倒だった時代から、より多様な血統が適性を発揮できる馬場へと変化している可能性を示唆しているのかもしれません。 「サンデー系なら安心」という思考停止を一度解き、レポートが示す「微かな違和感」に向き合うことが、きさらぎ賞の血統傾向をより深く理解する鍵となるでしょう。 きさらぎ賞について公式データと直近の結果から確認できる主要な血統傾向 サンデーサイレンス系の強固な基盤 : 過去10年のデータを紐解くと、好走馬の多くが父サンデーサイレンス系であり、特にディープインパクト、キズナ、キタサンブラックといった種牡馬の産駒が上位を占めています。中京開催を含めた長期的な視点では、依然としてこの系統が中心勢力であることは揺るぎない事実です。 京都開催における直近の潮流 : 京都に戻ってからの結果を見ると、興味深い傾向が見えてきます。2024年はロベルト系のエピファネイア産駒が勝利し、ミスプロ系のモーニン産駒が3着に食い込むなど、非サンデー系の躍動が見られました。一方で2025年は、1着キズナ、2着キタサンブラック、3着シルバーステートと、サンデー系種牡馬が上位を独占し「復権」を印象付けました。この揺り戻しのような現象こそが、現在のきさらぎ賞のリアルな姿と言えます。 母系に求められる要素 : 京都芝1800mの外回りは、下り坂を利用したスピードの持続力が問われる舞台です。そのため、母父にはSadler’s Wells系などの欧州スタミナ血統や、スピードを補完するMr. Prospector系を持つ馬の好走が目立ちます。父系の主流血統を、母系の底力で支える配合が理想的と言えるでしょう。 今回の事象から見えてくるきさらぎ賞の血統傾向の注意点と次の見方 ・ 視点の再構築 : 「結局はディープ系(キズナやリアルスティール)が強い」という意見と、「今の馬場ならロベルト系や底力のある欧州血統が台頭する」という意見が交錯しています。しかし、どちらか一方に決めつけるのではなく、「サンデー系の瞬発力」と「非サンデー系の持続力・パワー」が拮抗し、その年の馬場状態や展開によって最適解が揺れ動いている現状を認識すべきでしょう。単純な種牡馬名だけでなく、母系を含めた配合全体で「京都外回り1800mへの適性(特に下り坂からの持続力)」を評価する視点が必要です。 ・ 未来への視点 : きさらぎ賞で示された血統傾向は、その馬が皐月賞向きなのか、それとも日本ダービー向きなのかを見極める重要な試金石となります。「京都で求められた持続力を、クラシックの大舞台でどう活かせる血統なのか」を問い続けることが、この先も彼らを追い続けるための軸となるはずです。 補足:関連用語解説 ロベルト(Roberto)系 : パワーとスタミナに優れた血統。時計のかかる馬場や消耗戦に強く、サンデーサイレンス系全盛の現代競馬においても、底力を武器に大舞台で穴を開けることが多い系統です。 欧州スタミナ血統 : Sadler’s Wells(サドラーズウェルズ)系などに代表される、ヨーロッパの深い芝で培われたスタミナと重厚さを伝える血統。日本の高速馬場ではスピード不足になりがちですが、母系に入ることで、父系のスピードを持続させる「底力」として機能します。